見てみよう、分電盤

でんきのこと

今日は皆さんの自宅に必ず設置してある“分電盤”というものについて、実物の写真も交えながら解説していきたい。
一般家庭では分電盤はほとんどの場合、お風呂に繋がる洗面所(脱衣室)の天井に近いところの横長の長方形のカバーの中にある。

分電盤の設置場所は住宅の設計時に概ね次の二つの基準で決められる。
➀なるべく生活の邪魔にならない場所(問題が起こらない限り触る必要の無いものなので)
➁電気工事の業者が初めて訪れる家でもすぐに分かる場所
上記を満たすのが洗面所(脱衣室)というわけである。
仮に、例えばリビングに分電盤があったら見栄えが悪いし、電気のトラブルが起こって業者を呼んだ際に分電盤の場所をあちこち探し回らなければならないようだと不便である。

さて、分電盤のカバーを開けてみよう。
※プライバシー保護のため、写真の一部を黒塗りしています。

「ブレーカーが落ちた」際に、カバーを開けてスイッチを上げたり下げたりことがある方もいるかもしれない。
実はブレーカーと言っても種類がいくつかあるのをご存知だろうか。
一般的にブレーカーとは、一定以上の大きさの電流が流れた時に電気を遮断するスイッチ付の装置の総称である。
ブレーカーには概ね以下の三種類がある。
➀契約ブレーカー
➁漏電遮断器
➂子ブレーカー

➀契約ブレーカー
“契約ブレーカー”とは、契約アンペア数に応じて取り付けられるブレーカーである。
もし30Aで契約すれば30A用のブレーカーが取り付けられ、50Aであれば50A用が取り付けられる。
電力会社によっては契約アンペア数でブレーカーの色が違ったりもする。
例えば東京電力エリアでは、
10A→茶色
15A→桃色
20A→黄色
30A→緑色
40A→灰色
50A→茶色
60A→紫色
で色分けされている。
でも、新しく建てられた家や最近契約アンペア数の変更を行った家であれば、分電盤に契約ブレーカーが付いてないこともある。
これは電気の計量を行うメーターが昔ながらの円盤が周る計器から、“スマートメーター”という計器への置き換えが進んでおり、そのスマートメーター自体にブレーカーの機能が備わっているからである。
ちなみに、スマートメーターには通信機能があり、電力会社は検針員による検針を行わずとも電気使用量の集計及び料金の請求が行えるようになり、また家の中に入らずとも契約アンペアを遠隔で変更できるようになった。
ただし、スマートメーターに置き換わっていたとしても分電盤の中に契約ブレーカーが残されている場合もある。
その場合、アンペア数を変えるには電気工事会社に依頼して契約ブレーカーを撤去し、電力会社に申請をしてもらう必要がある。

ちなみに、私の家の分電盤には契約ブレーカーは付いていない。
では、スマートメーターで契約アンペアの制御を行っているのかというと、そうでもない。
実は、契約ブレーカーが設置されているのは電力会社との契約プランの契約決定方法が、“アンペアブレーカー契約”(従量電灯BやスタンダードSなど)かつスマートメーターに置き換わっていない場合であり、それ以外の契約決定方法だと契約ブレーカーが付いていない場合もある。
私の家の契約プランの契約決定方法は、“主開閉器契約”(従量電灯CやスタンダードLなど)といって、電源側(電気の上流側)に一番近いブレーカー(漏電遮断器)の容量によって契約容量が決まるタイプなので、契約ブレーカーは設置されていない。
よって、分電盤の契約ブレーカーが設置される場所は、下の写真のように穴を開けられるようになっているが、手が付けられていない。
最近では契約ブレーカーを設置する場所が初めから設けられていない分電盤もある。

➁漏電遮断器
“漏電遮断器”とは、漏電や電気の使い過ぎにより電気がその容量以上に流れた際に素早く(0.1秒以内)電気を遮断するためのブレーカーである。
漏電とはなにかというと文字通り電気が漏れることである。
電気のケーブルは被膜により絶縁されているが、その被膜が破れたり、電気機器が水に濡れたりした際に漏電は起きる。
契約ブレーカーは電力会社との契約アンペアを制御するブレーカーであったのに対し、漏電遮断器は安全のために取り付けられるブレーカーなので、契約ブレーカーの有無に関わらず必ず取り付けられている。

私の家では50Aの漏電遮断器が取り付けられている。
先ほどの契約決定方法の話に戻ると、私の家の電気の契約プランの契約決定方法は主開閉器契約である。
主開閉器契約では電源側に一番近い漏電遮断器の容量によって契約容量が決まる。
では、私の家の契約容量は50Aかというと、そうではない。

アンペアブレーカー契約の40A以上及び主開閉器契約では、“単相3線式”という方法で電気が供給されている。
単相3線式では下記のように3本の線がある。
ついでに説明してしまうと、電圧線と中性線からの組み合わせだと100Vの電気を取り出すことができ、2本の電圧線の組み合わせだと200Vの電気を取り出すことができる。

コンセントで縦長の穴が横に二本並んでいるのは、電圧線と中性線の二種類があるからである。

左側の若干長い方が中性線の穴である。

話がそれたが、比較のため下の写真のように50Aの契約ブレーカーと30Aの漏電遮断器が並んでいる場合を例に挙げる。
契約ブレーカーは二本の電圧線合わせて50Aの電気しか流れないようになっているが、漏電遮断器はそれぞれの電圧線に30A、すなわち合計60Aまでは流れるようになっている。
ただし、2本の電圧線の間で使用する電気に偏りがあると契約ブレーカーは落ちなくても漏電遮断器の方が落ちてしまうことがある。
1本の電圧線で30A以上電気を使ってしまった場合である。
このような偏りを起こさないため、なるべく2本の電圧線に負荷を分散させるように配線を考慮することが住宅の設計時に求められる。

よって、50Aの漏電遮断器が設置されていて契約決定方法が主開閉器契約の私の家では電気は最大で100Aまで流れる。
ただし、主開閉器契約では契約容量100Aという言い方はせず、単位がkVA(キロボルトアンペア)に置き換えられ、契約容量は10kVAである。

➂子ブレーカー
“子ブレーカー”とは、家のそれぞれの部屋に繋がるブレーカーである。
部屋の数や構成などが分かってしまうため、下の写真では黒塗りで隠してしまっているが、それぞれにリビング、洋室、キッチンなどどこに繋がる子ブレーカーなのか分かるようにシールが貼られていたり、ペンで書き込みがされていたりする。

この子ブレーカーの容量は20Aであることが多い。
ということは一つの部屋で12Aのドライヤーを2台(合計24A)使用したら子ブレーカーは落ちることになる。

このように”ブレーカーが落ちた”といっても、契約ブレーカーが落ちた(あるいはスマートメーターのブレーカー機能が働いた)のか、漏電遮断器が落ちたのか、子ブレーカーが落ちたのかによって、それぞれ原因や対応方法が異なる。
ブレーカーが落ちた際の詳しい復旧方法については契約している電力会社のホームページなどを参照されたい。

長くなってしまったが、ブレーカーには「契約ブレーカー」「漏電遮断器」「小ブレーカー」の3つがあるということは覚えておいてほしい。

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