海で生まれて 海に帰るよ
海に抱かれて 海で眠るよ
だけど いつかもう一度
海で会えるよ
※アニメ『七つの海のティコ』挿入歌
『海で会えるよ』より
今夜はウォークマンを外付けスピーカーに繋いで久しぶりにアニソンを聴いている。
私は見た目からか周りからアニメオタクだと思われることも多いが、アニメは数えるほどしか観たことがない。
『海で会えるよ』は、私が全話完走した数少ないアニメの中の一つ『七つの海のティコ』の挿入歌である。
『七つの海のティコ』がどんなアニメか簡単に説明すると、ティコという名前のシャチと人間の少女が、海洋研究者である父親とその仲間たち数人と一緒に、小さな船で伝説のクジラを探して世界中の海を冒険するお話ですな。
これ以上詳しい解説はWikipediaに任せる。
アニメ本編のネタバレになるが、『海で会えるよ』を聴くと、物語中盤で傷ついて力尽きたティコが北極の冷たい海深くに沈んでゆくシーンを鮮明に思い出し、胸がキュッとなってしまう。
「海で会えるよ」というのは、生命はみんな海で生まれて海に還るから、いつかはまた海で会える、
だから、あんまり悲しまないでね、というティコからのメッセージだと私は思っていた。
ただ、今日歌詞を意識して改めて聴いてみたところ、人間もいずれ死んで海に還るというニュアンスまでは含まれていないようにも思えてきた。
まあ、どちらにしろ印象的な歌である。
ティコの話に関連づけるには無理やり感があるかもしれないが、ここでちょっと違う話をする。
私が中学生の時に理科の授業で使っていた資料集に載っていたコラムで、「クレオパトラが飲んだ一杯のワインの中の水分子は、あなたがこれから飲むコップ一杯の水に何個含まれているでしょうか?」というのがあった。
答えはよく覚えていないが、確か「約8個」とかだったような。
もちろん厳密には分かりようもないが、ワイン一杯に含まれる水分子の数と地球上にある水分子の数を大ざっぱに計算した後に、クレオパトラの飲んだワインの水分子が均等に世界中に広がったと仮定した上で導き出した数字だったと思う。
私はクレオパトラのワインのコラムを読んで、人間の体を構成している炭素だとか水素だとかの原子も、死んだ後は同じように地球上にバラバラに広がるんだよなというところにまで考えが及んだ。
また、人間が生まれて死ぬのは当人からすると一大事だけれども、地球全体で考えるとプラマイゼロなんだよなとも思った。
このように、私は理系の人間なので(人を理系・文系で分類すること自体はあまり感心しないが)、無機質な考え方をしがちである。
でも、そんな私でさえ、人間の”精神”というものはまるで宇宙の外側とか、どこか別の世界から来て肉体に宿ったものなんじゃないかいうくらいに、神秘的なものに見えてしまう。
生まれて死ぬという、多くの生物が辿る単純なサイクルの中で、人間はたくさん考えて悩み、時に不可解な行動を取る。
精神というものは、偶然の産物にしては不思議が過ぎるものじゃないだろうか。
精神がどこから来るのか、その答えは私が生きているうちには導き出せそうにもない。
でも、答えを知ることができるなら知ってみたいし、この宇宙のどこかに人智を越えた存在がいるのならば、人間をなぜこのように複雑に作ったのか聞いてみたい。
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