(昔書いたショートショートを思い出すためのメモ。加筆修正予定。)
小中学生の同級生で、一度だけ同じクラスになったことのある奴が病気で入院したというので、御茶ノ水にある病院にお見舞いに行った。
ほとんど交友関係の無かった奴なのに、何でお見舞いに行くことになったのか、自分でもよく分からない。
でも、そいつが入院したという知らせが私の耳に入ってきたということからして、それは必然だったのだろう。
病院の受付で面会手続きを済ませて、看護師に案内されて奴の病室に入った。
四角い部屋に蛍光灯が3本。
端っこが黒ずんでいて昼間なのに薄暗い。
一人部屋で、奴の他には誰もいない。
何を話そうか、言葉に詰まった。
「よお、元気か?」ではおかしいし、「大丈夫か?」も何だかおかしい。
そんなことを考えていると奴の方から話しかけてきた。
「大丈夫か?顔が青いぞ。入院してるのは俺の方だぜ。」
お土産のリンゴを渡し、三十分くらい話しただろうか。
何を話したか全く覚えていない。
でも、時計では30分経っている。
気味が悪くなってきたので、帰ることにした。
御茶ノ水駅で改札の前に来たが、どうやって帰ればいいのか分からない。
そもそも改札ってどうやって通るんだっけ…。
一番高いキップを買えばいいんだ。
と思い、ポケットから財布を出そうとすると、ポケットが無い。
いつの間にか自分の服が上下同じ色のツナギのような服になっている。
そうか、病気なのは私だったんだ!
そして、病院に戻った。
※この話はフィクションです。
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