イヤホン工場

中国から安い品物を大量に仕入れて、日本の量販店向けに卸している友人から聞いた話。

先月、100円ショップで売っているような安いイヤホンの工場を商談で訪れた。
その時に、工場の中を一部見せてもらったそうだ。
彼が見たのは、梱包の工程だった。
パレットを積んで作った島がいくつか並んでいて、作業員がそこに製造されたばかりのイヤホンがたくさん入った段ボールを持ってきて、中身を無造作にドバっと島の上にあける。
それを髪の毛混入帽子ネットを被った数人の作業者たちが、手際よくイヤーピースを取りつけ、コードを束ねて針金で止めていく。その隣で、一人座っている人がいて、イヤホンを携帯ラジオに挿し、両方の右耳に当てては横に積んでいく。
検品者によって積まれたイヤホンをパッケージに入れ、圧着する人がいて、最後にそれを箱詰めする人がいる。
検品の作業は、音が聞こえない不良品が多いという日本の100円ショップからの苦情を受けて、新しく作ったらしい。
実は検品が一番ハードなので、2時間毎の交代制で回しているらしい。
耳に軽く当てるだけとはいえ、検品後のイヤホンを消毒していないのが非常に気になった。
彼は工場に、少なくともイヤホンをパッケージ前に消毒するか、人間の耳ではなく機械での検品に変更するよう、要望を出した。
ただ、検品工程を増やしただけで、原価が5円上がっており、これ以上は厳しいとのこと。
日本で100円ではなく、120円くらいで売ってくれれば、品質面でも製造工程の面でも、もうちょっといい物が作れるのに、と工場の社長が笑いながら言っていたそうだ。

友人いわく、安いものはそれなりの原料を使って、それなりの製造工程を経て作られる。
どこの工場を見てもそうだったらしい。
日本人は買い物をする時に、買おうとしている商品がその値段で妥当なのか、よく考えてほしいと言っていた。

※この記事はフィクションです

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